「せっかく積み立ててきたのに、株価が大きく下がってきた」
「積立、いったんやめたほうがいいのかな?」
相場が荒れると、必ずと言っていいほど増える悩みです。
先に、この記事の結論をお伝えします。
「下がったからやめる」は、積立投資のいちばんの強みを自分から手放す行動です。
なぜそう言えるのか。
この記事では、
- 下落時に積立を続けると「何が起きているのか」(数字の例つき)
- それでもやめたくなったときの3つのチェックポイント
- 続けるうえでの注意点
を、元銀行員の私がやさしく解説します。
感情論ではなく、仕組みで納得できるように書きました。
下がった月、あなたの積立には何が起きているのか
毎月決まった金額を買い続ける方法を、ドルコスト平均法といいます。
この方法の特徴は、たった1つです。
価格が安いときほど、自動的にたくさん買える。
言葉だけだと分かりにくいので、数字で見てみましょう。
毎月1万円ずつ、ある投資信託を買うとします(口数は分かりやすく単純化しています)。
| 月 | 基準価額(1万口あたり) | 買えた口数 |
|---|---|---|
| 1月 | 10,000円 | 10,000口 |
| 2月 | 8,000円(下落!) | 12,500口 |
| 3月 | 10,000円(元に戻った) | 10,000口 |
3ヶ月で払ったのは3万円。買えた口数は合計32,500口です。
ここで注目してほしいのは2月です。
価格が2割下がった月は、同じ1万円で2,500口も多く買えています。
そして3月、価格は1月と同じ10,000円に戻っただけなのに、資産は32,500口×1円=32,500円。
払った3万円より増えています。
価格は「行って戻ってきただけ」なのに、資産はプラス。
これが、下がった月も買い続けた人だけが受け取れる、積立の仕組みです。
もし2月に「下がって怖いから」と積立を止めていたら、いちばん安く買える月を逃していたことになります。
「金額」ではなく「口数」を見る
下落時に不安になる大きな理由は、画面の「評価額」(金額)だけを見ているからです。
金額は、相場しだいで毎日変わります。
でも、あなたが積み立てた口数は、相場が下がっても1口も減りません。
むしろ、続けているかぎり毎月増えていきます。
下がった日は、「金額」ではなく「口数」を見る。
これだけで、同じ画面がずいぶん違って見えるはずです。
過去の下落は、どうなってきたか
「そうは言っても、このまま戻らなかったら?」
その不安にも、正直に答えます。
世界の市場全体は、これまで何度も暴落を経験しながら、長い時間をかけて回復してきた歴史があります。リーマンショックも、コロナショックも、当時は「もう終わりだ」と言われました。
ただし、2つの正直な注意があります。
- 過去がそうだったからといって、将来も必ず回復する保証はありません
- 市場全体(インデックス)と違い、個別の会社の株や一部の商品は、下がったまま戻らないこともあります
「広く分散されたものを、長く積み立てる」ことが前提の話である、という点は忘れないでください。
やめたくなったときの、3つのチェックポイント
仕組みが分かっても、不安になるときはなります。
そんなときは、やめる前にこの3つを確認してみてください。
チェック1:生活費に食い込んでいないか
積立の金額が家計を圧迫しているなら、問題は相場ではなく金額設定です。
その場合も、やめるのではなく、金額を下げるのがおすすめです。
月3万円が苦しいなら1万円に。ゼロにしなければ、安く買える時期を逃しません。
チェック2:近いうちに使うお金を投資していないか
数年以内に使う予定のお金を投資に回していると、下落が本当の危機になります。
思い当たる方は、投資の金額うんぬんの前に、お金の仕分けから見直してみてください。
→ 投資はまだ始めなくて大丈夫。まずは「3つのお金」に分けることから
チェック3:「何のための積立か」を書いたものがあるか
目的があいまいだと、判断のよりどころが「今日の株価」しかなくなります。
方針を1度整えておくと、下落のたびに迷わなくて済みます。
→ 「積立、このままでいいのかな」の正体は、方針が決まっていないだけ
よくある質問
Q. 一度やめたら、もう再開できませんか?
いつでも再開できます。ただ、経験上いちばん多いのは「やめたあと、再開のきっかけを失うケース」です。だからこそ、やめる前に「金額を下げる」選択肢を思い出してください。
Q. 逆に、下がったときは買い増ししたほうがいいですか?
「安いから」という気分での買い増しは、おすすめしません。余裕資金の範囲で、あらかじめ決めたルールに沿って行うのが原則です。決めていないなら、いつも通りの積立を続けるだけで十分です。
Q. どこまで下がるか、予想できますか?
できません。それは私にも、プロにも分かりません。分からないからこそ、「いつ買うか」を考えなくていい積立という方法に価値があります。
まとめ:積立の強みは、下がった月にこそ働いている
最後に、この記事の要点です。
- 積立は、価格が下がった月ほど多くの口数を自動で買えている
- 下落時は「金額」ではなく「口数」を見る。口数は減らない
- 過去の市場は回復してきた歴史があるが、保証はない。分散と長期が前提
- やめたくなったら、やめる前に「金額を下げる」を検討する
相場は選べませんが、続け方は選べます。
新NISAの基本からおさらいしたい方はこちらへ。
→ 新NISAは、ぜんぶ覚えなくて大丈夫。最初に知るのは3つだけ
※ 本記事は特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任でお願いいたします。
※ 制度・税金に関する記述は2026年8月時点の情報です。最新の情報は金融庁「新しいNISA」のページ(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/)等でご確認ください。
※ 過去の市場の値動きは将来の運用成果を保証するものではありません。